改元1カ月前の元号発表となったのは、官民の情報システムを改修する時間を確保するためだ。しかし、当初政府が想定した発表日程より大幅に遅い時期となった。政府系システムの改修は間に合うメドが立ったとするが、民間では5月1日以降、どのような影響が出るか見通せない。国民生活に支障が出る可能性もある。
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「非常にタイトな日程の作業だ。『2000年問題』より、新元号対応の作業量の方が比較にならないほど多い」。2月中旬、コンピューターの基本ソフト「ウィンドウズ」を提供する日本マイクロソフトの担当者は、新元号対応の企業向け説明会で注意を呼びかけた。
平成への改元時と比べてシステムの規模ははるかに大きく複雑になった。政府は天皇陛下の退位特例法が成立した17年6月ごろ、システム改修の時間を確保するため、18年夏の新元号発表を検討した。
ところが、平成のうちに新しい元号を公表すると、いまの天皇陛下との間で「二重権威を生み出すおそれがある」との声が、政権の支持基盤である保守層から出た。政府は一定の配慮をせざるを得ず、発表時期は正式に決めないまま「1カ月前を想定」という形で準備に入った。
「本来なら3カ月かかるところを、何とか1カ月で間に合わせる」(政府関係者)という綱渡りの作業になるが、改修が必要な576の政府のシステムは、改元後初の平日となる5月7日までに対応できるメドがついた。
一方、経済産業省が民間企業を対象に行ったアンケートによると、改修の作業計画ができている企業でも、48%が改修後にきちんと動くかどうかのテストを計画していない。5月1日以降、トラブルなく進むかは不透明だ。(田嶋慶彦)