熊本県天草広域本部(天草市)は、防災や消防業務における共通のツールとして「天草広域本部管内防災マップ」を作製した。消防団や避難所への配備も含め管内の警察署や災害拠点病院など幅広い機関に計千部を配布した。
このマップは方眼紙のようなます目状の座標から位置を把握する「UTMグリッド地図」形式を採用しているのが特徴。縮尺6万8千分の1で作製し、1キロ四方のます目が入っている。
この形式の防災マップは県芦北地域振興局が作製したのに次いで県内で2番目だが、大量に作製して配布するのは初めて。自衛隊や消防など災害時に他県から救助隊として派遣された土地勘がない人でも、場所を速やかに特定できる利点がある。今年度の県総合防災訓練でも初めてグリッド地図を用いた図上訓練が実施された。
グリッド地図形式の採用は2014年5月10日夕方に八代市の平家山(1497メートル)で発生した山林火災がきっかけという。12日午前10時15分に鎮火するまで約21・7ヘクタールが焼けた火事は、発生後に「平家山の西2キロ」という情報が県に入ったが、県が地図で場所を特定するのに約20分間もかかった。このため、場所を速やかに特定する共通の仕組みとして導入された。(大矢雅弘)