熊本地震の発生から14日で3年となる。仮設住宅などの仮住まいで暮らす人はピーク時の4割を切ったが、いまなお約1万6500人(約7300世帯)いる。うち熊本県内では65歳以上のみの世帯が34%を占める。県は今年度中の仮設住宅解消をめざしているが、経済的な理由などで460世帯が住まいを確保する見通しが立っていない。
観測史上初めて震度7を2度観測した熊本地震。犠牲者は、この1年で災害関連死が6人増え、直接死と、地震で緩んだ地盤を襲った2カ月後の豪雨による死者を合わせて、熊本・大分両県で273人となった。
この日、熊本県西原村で花を植える催しがあった。「ガレキと一輪の花プロジェクト」が主催し、小森仮設団地で暮らす住民とボランティアら約10人がマリーゴールドなどを植えた。参加した古庄益喜さん(77)は「仮設暮らしが続いているので、花を見ることで華やかな気持ちになります」と話した。
20万棟あまりの住宅が被害を受けた被災地には新しい家が建ち始め、プレハブなどの建設型仮設団地では空室も目立ってきた。すでに閉鎖された仮設団地もあり、被害が大きかった益城町などでも今後集約が進む。一方で、仮設住宅などで誰にもみとられずに亡くなった人は、この1年で9人増え、計28人となった。
人手不足や費用高騰などで停滞していた災害公営住宅の整備も進むが、12市町村で予定している1717戸のうち完成したのは496戸。政府は昨年10月、原則2年の仮設住宅入居期限の2度目の延長を決めた。
被害を受けて立ち入り禁止となっている熊本城は、今秋のラグビーワールドカップ開催を見据え大天守の修復が進み、10月には外観の一般公開も予定される。(池上桃子)