お産の事故で赤ちゃんが重い脳性まひになった場合に補償金を支払う「産科医療補償制度」に基づく事故報告書(要約版)の半数以上が非公表になっている。ウェブサイトで全件公表していたが、制度の運営法人が公表の条件を設けたためだ。非公表は少なくとも1339件ある。報告書の公表は、事故から得られた知見や教訓を再発防止に生かす意義があり、専門家らから批判が出ている。
補償制度は日本医療機能評価機構が2009年から運営している。事故の再発防止のため、補償金が支払われた事故を専門家らが分析し、原因や再発防止策などをまとめた報告書を赤ちゃんの保護者と医療機関に郵送後、要約版をサイトで公表していた。親子や医師は匿名で、お産の時期や医療機関名は載せていない。
要約版は、医療者の研修や研究のほか、事故が適切に分析されたかを患者団体が確認するなどの目的で活用されていた。
しかし、機構は昨年8月から要約版の公表を中止。その後、赤ちゃんの保護者と医療機関の一方でも公表を拒めば、公表しない方針にした。
機構は、法的には両者の同意がなくても公表できると判断したものの、担当者は「その判断に判例などのお墨付きがあるわけではない。個人情報保護の意識が高まっていることなどから、同意をとったほうがいいと判断した」と説明する。一方、要約版を公表していたことで起きたトラブルはないという。
機構は医療機関と保護者に、公…