日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者(65)の弁護団は9日、前会長が4日に会社法違反(特別背任)容疑で再逮捕される直前に撮影した映像を公開した。前会長はあらためて「無実だ」と訴えるとともに、事件は、仏ルノーとの経営統合に「恐れ」を抱いた日産経営陣による「陰謀だ」と強い口調で語った。
カルロス・ゴーン もたらした光と影
映像は約7分30秒。ゴーン前会長は白いシャツに紺色のジャケット姿。英語ではっきりとした口調で主張を展開した。弁護団によると、映像で前会長は日産幹部の名前を挙げている場面があったが、弁護団の判断で削除したという。
ゴーン前会長は冒頭、「私にかけられている全ての嫌疑について、私は無実だ。108日もの期間を拘置所で過ごしたにもかかわらず、一貫した立場だ」と強調。事件後に寄せられた非難については「私を強欲な人物、独裁的な人物として塗り固めるためになされたものだ」と不快感を示した。
前会長が映像で最も多くの時間を割いたのは、事件が日産経営陣による「陰謀」「謀略」「中傷」との主張だ。水面下で検討されていたルノーとの経営統合を念頭に、「ある人たちは、日産の独立性を脅かすかもしれないと恐れた」と主張。「独立性を得ることが目的化したために生じた恐れ」を抱いた「数人の幹部」によって、「汚いたくらみ」が実現したとの見方を示した。
さらに現経営陣に対する痛烈な批判を展開。ここ数年の業績不振の原因を現経営陣に問題があった」と指摘し、「あれはしない、これはしないと言って、同時に未来のビジョンもなく、アライアンスの将来をより強化するためのビジョンもなく自らを誇っている。うんざりさせられる」とまくし立てた。
また現在の日産の業績が低下していることを「心配だ」とし、ルノーや三菱自動車とのアライアンスを念頭に、「テーブルを囲んでコンセンサスで意思決定をしていくということは、自動車業界ほど競争の激しい産業においては何らのビジョンをも生み出さない」「役割を明確にする必要があり、リーダーシップを発揮しなくてはいけない」などと指摘。「これは『独裁』などではない」とした。
最後に自らの裁判について短く言及した。「公正な裁判を受けることを最も強く望む」とし、「裁判で無実を証明したいと願っている」と締めくくった。
「もし皆さんがこの動画を通じて私のお話をお聞きいただいているとすれば、それは私が4月11日に予定していた記者会見を開くことができなかったということになります」。発言の全文は以下でご覧下さい。
日産自動車前会長のカルロス・…