日産自動車前会長のカルロス・ゴーン容疑者(65)が日産資金を自らに還流させ、私的に流用したとされる特別背任事件で、還流先の中東レバノンの投資会社「GFI」の所在地に、およそ40社が登記されていたことがわかった。首都ベイルートにある前会長の高級住宅を所有する会社も含まれていた。いずれも実体のないペーパーカンパニーとみられ、東京地検特捜部は、前会長による不正の「拠点」となっていたとみて調べている模様だ。
カルロス・ゴーン もたらした光と影
ゴーン前会長は2015~18年、日産子会社「中東日産」からオマーンの販売代理店「SBA」に約17億円を送金し、そのうち約5億6千万円を自らが実質保有するGFIに還流させた疑いで再逮捕された。前会長の「資金管理担当」とされるSBAのインド人幹部が、個人口座から複数の口座を経由し、GFIに送金していたとされる。
ベイルートにある7階建てビルの一室。GFIは15年4月、ここにあったレバノン人弁護士の事務所に設立された。ゴーン前会長の側近だったこの弁護士とSBAのインド人幹部が設立者として登記されている。
弁護士は17年8月に死亡。今年2月、朝日新聞記者が訪ねると、同じビルで働く女性は「弁護士が死亡した3カ月ほど後に事務所は閉じた」と語った。さらに取材すると、この部屋に約40の会社が登記されていたことがわかった。
そのうちの一つが「フォイノス…