鳥居みゆきが主演を務める連続ドラマ「元町ロックンロールスウィンドル」が、サンテレビ(神戸市)で始まった。5月で開局50周年を迎える同局が、初の連ドラ制作に挑戦。神戸市街地や尼崎などでロケが行われ、地元愛あふれるドラマに仕上がった。
物語の舞台は、神戸・元町の裏通り。古着屋オーナーのマリア(鳥居)の元には、80歳のストリッパーや「鬼畜バンド」を組んでいた教師など、くせの強い人が集まってくる。登場人物が交差し、思いもよらない展開を生んでいく……。
この台本を最初に読んだとき、鳥居は「ドラマの台本じゃねえだろ!」と思ったそうだ。脚本・監督は、映画「ヴィヴィアン武装ジェット」でタッグを組んだ島田角栄監督。鳥居は「(地上波向けに)キャッチーにするのかと思っていたけど、島田さん節が全開。私と島田さんで、放送コードを広げる役割をしていけたらと思います」と話す。
約10年前にピン芸人としてブレークし、その後、小説や絵本を出したり、舞台や映画に出たりと、活躍の幅を広げてきた。「職業は?」と尋ねると「すっごいダサい表現だけど、たぶん『マルチタレント』?」と答えた。中学生の頃から、俳優や演出家になりたいという夢を抱いていたといい、「その夢をあきらめて、お笑いを一回究めようと思ってやりはじめた。そして、今、最初にやりたかったことができているのはすごいなあと思います」。
今作では、はちゃめちゃな人たちを見守り、会話を回すMCのような役回りを演じている。「生きづらそうな人と、折り合いをつけてやっていく。(聖母)マリアのような救いの存在」だと感じたという。「これまで雪女を演じたこともあるし、今度の映画はえんま様。(今回は)久しぶりに人間がやれて、うれしいです」と笑顔をみせた。
シーンごとに変わる、ロックテイストの衣装も見どころだ。「借りていた衣装が足りなくなって、最終話の大事なシーンは私服で出ています。それだけが、心残り……。それまでロックなテイストなのに、最後だけちょっと違うんです」
放送は、毎週月曜午後11時半から。全13話。放送後には、動画サイト「GYAO!」で無料配信もある。(杢田光)