宇宙に浮かぶ「黒い穴」をついに捉えた――。天文学者にとって長年の夢だったブラックホールの撮影画像を国際研究チームが10日発表した。世界各地の電波望遠鏡を結び、膨大なデータを基に、高い精度で解析を続けて紡ぎ出した成果だ。今後の研究の進展が期待される。
世界初ブラックホール撮影成功 国立天文台などのチーム
そもそもブラックホールって 地球吸い込まれる心配は?
巨大ブラックホールの撮影は、世界の天文台が協力して、直径約1万キロに相当する「地球サイズ」の望遠鏡を作り出したことによって成功した。
今回捉えたM87銀河にあるブラックホールは、地球から5500万光年離れており、見かけの半径は地球から月面に置いたゴルフボールを見た時の大きさとほぼ同じだ。
望遠鏡の口径が大きいほど細かさを見分ける能力「解像度」は高くなるが、一つの電波望遠鏡の口径は最大でも数百メートル程度。ブラックホールの撮影には全く歯が立たない。その限界を打ち破ったのが、複数の望遠鏡で同時に観測する「超長基線電波干渉計(VLBI(ブイエルビーアイ))」という方法だ。
電波望遠鏡は、宇宙から届く微弱な電波をおわん型のアンテナで反射させ、1点に集めて検出する。今回の方法では、それぞれの天文台が観測したデータを一つに合成する。山口大の藤沢健太教授(電波天文学)は「アンテナ間の距離に匹敵する大口径の仮想的な望遠鏡を作り出すことができ、解像度を高められる」と説明する。
研究チームは、南米・チリのアルマ望遠鏡を中心に、米国のハワイとアリゾナ州、メキシコ、スペイン、南極にある八つの電波望遠鏡で観測した。口径は地球の直径に近い約1万キロになり、人間の視力に換算すると、「視力300万」を実現したという。
一方、弱点もあった。それぞれ…