岡山県倉敷市真備(まび)町箭田(やた)地区の住民が、昨夏の西日本豪雨で決壊した小田川の河川敷を歩いて踏み固め、増水時に流れを妨げる雑木や雑草の繁茂を食い止める試みを始めた。「住民の出入りが盛んになれば荒れ地にならない」。防災と環境保護に役立ち、住民が憩う緑の広場を、お金をかけずにてくてく歩いて整える。
6日午前、県立倉敷まきび支援学校近くの小田川河川敷に、長靴をはいた家族連れら約90人が集まった。一帯は大人の背丈を超す草や雑木が広がる。この日は福松橋から下流側約200メートル(幅約100メートル)の約2万平方メートルを踏み歩いた。
主催した箭田地区まちづくり推進協議会が、事前にダンプカーで一部を踏みならしておいたが、それでも川の流れが草木で見えない状態だった。参加者たちは「こんな荒れ地だったとは」と驚きながら、次々に草木を踏んでいった。川の流れが見えるようになると、「普段はこんなに穏やかな流れなのに……」と西日本豪雨の当時を思い出してつぶやく人もいた。
国は豪雨直後、緊急対策として河川敷の雑木の一部を伐採した。しかしそれから数カ月で草木がまた茂った。協議会の片岡展弘さん(65)らは「放置したら森のようになる」と危機感を抱き、住民による踏み歩きを提唱した。
踏まれると、背が高い草木は成長が止まって枯れ、低い草木は根を強く張って丈夫な芝生のようになるという。片岡さんは「コストをかけずに堤防を強化でき、河川環境を守る意識も共有できる」と期待する。
協議会は「踏みつけウォーク」と銘打ち、毎月1回程度続けていく。次回は5月6日の予定だ。やがて一帯を芝生広場のようにできれば、ウォーキングコースやマレットゴルフ場を整備する構想があるという。
一般参加もできる。問い合わせは協議会(すくらむ班、080・1918・9543)。(小沢邦男)