熊本県庁で14日、熊本地震犠牲者追悼式が開かれた。遺族75人を含む345人が参列。亡くなった人たちを思い、花を手向けた。
新居完成の半年前、仮住まいで先立った妻「力が入らん」
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遺族を代表して、60年連れ添った妻のフミヨさん(当時79)を本震で亡くした、南阿蘇村の増田敬典さん(81)が思いを述べた。
増田さんは、山や水が美しい村に、道路や観光施設、大学ができていった被災前の様子を「私たち夫婦の歴史そのもの」といい、「悲しみはつきないが、亡き妻のそばを離れず、ともに暮らしたい」と述べた。「今月で82歳になり、世話をするより、されることが多いかも知れない。それでも、自立した生活を送り、少しでも村の再建に役に立ちたい。高齢者が前を向くことで、復興に頑張る若い人たちの励みになればとの思いからです」と結んだ。
蒲島郁夫知事は式辞で、大きな被害を受けた西原村の酪農組合を訪問した時のことに触れ、「組合員のみなさんは『もう一度がんばるばい』と励まし合い、復興を成し遂げられた。私自身、復興に立ち向かう勇気をもらった」と振り返った。一方で、いまなお1万7千人近くが仮設住宅での生活を余儀なくされていることに言及し、恒久的な住まいの確保にむけて「全力で取り組む」と述べた。
追悼式終了後、蒲島知事は取材に「あと1年でできるだけ多くの方が住まいを再建できるようにしたい」と述べた。(池上桃子)
何でも得意な自慢の妻
「お母さん、いま帰ってきたよ」。南阿蘇村の増田敬典さん(81)は仮設住宅に戻ると、3年前に亡くなった妻フミヨさん(当時79)の写真に声をかけている。大好きなビールを開けるとき。食事を終えたとき。「話しかけると、笑ってくれる気がするんです」
2016年4月16日未明の本…