携帯電話最大手のNTTドコモは15日、通信料金を従来よりも最大4割安くする新たな料金プランを発表した。2年間通信契約を続けることを条件に端末代を実質的に割り引く「セット販売」を廃止し、通信料と端末代金を分離する。最も安い料金は税抜きで月2980円で、家族割引を組み合わせると月1980円になる。一方、端末代は値上がりすることになる。6月1日から適用を始める。
セット販売は、料金が複雑でわかりにくく、端末を頻繁に買い替えない人にはメリットがなく不公平だと批判があり、総務省はセット販売を禁じる電気通信事業法改正案を今の国会に提出している。同社は改正法成立に先駆けて分離プランを打ち出した形だ。
新プランは、データ通信を月30ギガバイトまで使える「ギガホ」(税抜き月6980円)と、7ギガバイトを上限に利用した分だけを4段階で払う「ギガライト」(同2980円~5980円)の2種類だ。
家族3人以上で契約すると月1千円割り引かれるため、通信量が月1ギガバイト以下の場合は、1人あたりの通信料がこれまでよりも約4割安い1980円となる。1人で契約する場合は割引はないため、月1ギガバイト以下で値下げ幅は25%程度となる。
セット販売では、端末価格の大部分を2年間にわたって月々割り引き、最新の端末でも安く買えるとして契約を増やしてきたが、その分通信料は高止まりしているとの指摘があった。吉沢和弘社長はこの日の会見で「複雑でわかりにくい、お得が実感できないという声を受けて、シンプルでお得なプランにした」と強調した。セット販売は5月末で新規受け付けを終了する。現在加入している人は継続することができる。
通信料が下がる一方で、セット販売による端末代の割引はなくなるため、米アップルの「iPhone(アイフォーン)」の最新機種など10万円を超す端末は、利用者の負担が大きくなる見通しだ。吉沢社長は「少しでもお求めやすくなるように考え中だ」として、通信契約を条件にせずに端末を一定程度割り引く意向を示したが、割引幅は従来よりも小さくなるという。
KDDI(au)とソフトバンクはすでにセット販売を見直したプランも導入しているが、端末の割引について、通信契約を条件に端末代の最大半額を免除する「4年縛り」も展開している。法改正後は認められなくなる見込みのため、見直さざるを得ない状況だ。
携帯電話料金をめぐっては、菅義偉官房長官が昨年8月に「4割程度下げる余地がある」と求めたことを受けて値下げに向けた動きが加速した。
■米アップルに…