政府は16日、裁判員裁判になる事件と、検察が独自に捜査した事件の全過程について、取り調べの録音・録画(可視化)の義務化を6月1日から始めることを閣議決定した。通信傍受の手続きの「合理化・効率化」も同日に始まる。
取り調べの可視化は、刑事司法改革の目玉の一つとして、2016年5月成立の改正刑事訴訟法に盛り込まれた。警察は08年から可視化の試行に取り組み、対象場面などを拡大してきた。13年度からは全過程の可視化を始めている。
通信傍受は、現在は通信事業者の施設で社員が立ち会って実施しているが、今後は警察など捜査機関の施設で立会人なしで行うことが可能になる。
改正法は、10年の大阪地検特捜部の郵便不正事件など強引な取り調べが招いた冤罪(えんざい)への反省を踏まえて成立した。可視化の義務化によって、改正法で定めた司法取引や刑事免責など新たな刑事司法制度は全て施行されることになる。山下貴司法相は16日、閣議後の記者会見で「新たに施行となる制度が適切に運用されるよう引き続き準備に努めてまいりたい」と述べた。