文部科学省は21日、局長級幹部2人が相次いで逮捕、起訴された汚職事件を受け、全職員約2600人に対し、服務規律を守っているかを調査することを決めた。医療コンサル会社元役員の谷口浩司被告(47)=贈賄罪などで起訴=らから不適切な接待を受けた経験の有無を尋ねるほか、一部の幹部職員からは弁護士らが聞き取りをする。
元コンサル「国会議員がケツ持ち」 文科省汚職で追起訴
この日に有識者を交えた「調査・検証チーム」の初会合があり、調査項目などが了承された。大学や他省庁に出向中の人、外局のスポーツ庁や文化庁を含めた全職員に、過去10年間について尋ねる。秋ごろに中間結果をまとめたい考えだ。
谷口被告や、補助金対象となる事業者など「利害関係者」から物品の贈与や酒食のもてなしを受けたり、共にゴルフや旅行をしたりした経験や、事業をめぐり特定の相手に有利な扱いをするよう上司に指示された経験などをオンライン調査で全職員に問う。自らだけでなく他の国家公務員の行為も尋ねる。林芳正文科相は結果を受け、状況次第で処分を検討する考えを示している。
このほか、事件では私立大学支援事業への選定依頼が問題となったため、今年度の公募型事業約630件も調査する。公募や審査、対象者の決定までの手続きで、特定の相手を優遇できるような仕組みでないかを各担当課が調査票に答え、弁護士がチェックする。
一連の事件では、前科学技術・学術政策局長の佐野太被告(59)と前国際統括官の川端和明被告(57)が東京地検特捜部に逮捕、起訴された。林氏は21日の会合で「省一丸となって文科省の再生に向け、一つ一つの取り組みを積み重ねて国民の信頼回復に全力を挙げていく」と述べた。(根岸拓朗)