女子ゴルフのKKT杯バンテリンレディスが19日、熊本空港CCで開幕した。日本女子プロゴルフ協会(LPGA)の放映権問題を巡り、一時中止が発表された大会。ただ、主催する地元の熊本県民テレビ(KKT)は「復興のシンボル」として大会の存続を希望しており、LPGAと協議を続けている。
「理解出来ぬ」放送断念も 女子ゴルフ放映権で対立続く
中止と発表の3大会、開催へ 女子プロゴルフ協会ツアー
KKTは約30年間、大会の中継に携わってきた。地方局にとって大会主催は一大事業だ。昨年12月、一時中止が発表された際は、選手やファンらから開催を要望する声が上がった。KKT営業局次長兼事業部長の入嶋照紀さんは「最初から中止するつもりはなく、LPGAに継続審議をお願いしていたが、LPGAの期限までに協約書の締結ができなかった。関係者のみなさんに心配をかけてしまい申し訳なかった」と話した。
元賞金女王の不動裕理、上田桃子のほか、有村智恵、笠りつ子ら熊本県出身者が多く、選手にとっても思い入れのある大会。
上田は「(一時中止が発表されたときは)いろいろな人から『どうにかならないの』と連絡がきた。とにかく(開催を)信じていた」。有村も「ゴルフを始めた時にこの大会を見て(プロゴルファーへの)夢を抱いた。ここに帰って来ることができてうれしいし、有り難い」と話す。
2016年は熊本地震の影響で中止になり、「復興を象徴する、特別な大会」と入嶋さんは言う。仮設住宅に暮らす高齢者に大会の招待状を送るなど被災者に寄り添う。
入嶋さんはLPGAとの合意に関して言及は控えた上で、「開催を続けていくために、LPGAと引き続き協議を続けている」と語った。
この問題では、放映権の一括管理を求めるLPGAと、テレビ局が対立。LPGAは昨年12月、今大会を含む日本テレビ系列の地方局主催の3大会の中止を発表したが、1月に「放映権の考え方について合意ができた」とし、一転して開催を発表した。だが、2月には日本テレビの大久保好男社長が「大会の費用、リスクを負い、すべての事業責任を持っている主催者に放映権はある。完全合意ができているわけではない」と主張するなど、テレビ各局が相次いでLPGAへの不満を表明した。(浅野有美)