自民党の萩生田光一幹事長代行は19日、10月に予定される消費税の10%への引き上げの延期を示唆した自身の発言について「個人の見解」と釈明し、「政府と話していないし、政府方針に異議を唱えたつもりもない」と述べた。与野党に反発が広がり、火消しを迫られた格好だ。
18日のインターネット番組での自身の発言について、自民党本部で記者団の取材に応じた萩生田氏は「10%(への消費増税)を国民にお願いする基本姿勢に変わりはない」と強調。増税延期の判断材料として、7月1日公表の日銀短観を例に挙げた真意について、「『小さな足元の数字』と言って見落とすことのないよう、全国の仲間と声を聞いていく姿勢を示したかった」と釈明した。
増税延期の場合の衆院解散の可能性に言及したことには、「過去の例にならって何らかの国民の了解を得ることの必要性を申し上げた。もとより解散権は総理の専権事項だ」と答えた。
萩生田氏の発言をめぐっては与党内からも反発が相次ぎ、菅義偉官房長官は19日、政府方針に変更がないことを改めて強調した。麻生太郎財務相は同日の閣議後会見で「(萩生田氏が)どういうつもりで言っているのかわからん。迷惑している」と不快感を示した。国民民主党の玉木雄一郎代表は「アベノミクスがうまくいっていないことを認めた発言。予算委員会の集中審議が不可欠」と訴えた。
一方、萩生田氏が同じ番組で国会の憲法審査会の運営をめぐり、「新しい時代になったら、少しワイルドな憲法審査を進めていかないといけない」と述べたことに野党が反発。18日に予定されていた衆院憲法審の筆頭幹事間協議が流会となった点について、「憲法審査を前に進めて頂きたいという私の本意と違うので、率直におわびを申し上げ、訂正したい」と陳謝した。(石井潤一郎)