日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者(65)が中東オマーンの販売代理店に支出した日産の資金を私的に流用したとされる特別背任事件で、東京地検特捜部は22日、前会長を会社法違反(特別背任)の罪で追起訴し、発表した。日産も同日までに前会長を告訴した。弁護側は保釈を請求する方針で、東京地裁の判断が注目される。
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昨年11月以降、4回の逮捕を重ねた特捜部は、現時点で新たに立件する事件はないと判断した模様で、捜査は一区切りとなるとみられる。ゴーン前会長は逮捕後、「容疑に根拠はなく、無実だ」とする談話を公表していた。取り調べには黙秘しているとみられる。
特捜部の発表などによると、ゴーン前会長は2017~18年、日産子会社からオマーンの販売代理店「SBA」に計1千万ドルを送金し、そのうち計500万ドル(約5億5500万円)を自らが実質保有するレバノンの投資会社「GFI」に還流させたとされる。
GFIからは息子や妻の会社に資金が流れ、息子の会社への送金は前会長の投資資金に充てられていたという。
ゴーン前会長は1月に特別背任などの罪で起訴された後、3月6日に保釈になったが、今月4日に「オマーンルート」で再逮捕された。最初の10日間の勾留後、特捜部はさらに10日間の勾留延長を請求。地裁が延長期間を短縮して8日間に限り認めたため、22日が勾留期限となっていた。