太陽光が大気中の粒子によって回折することで、太陽の周りに虹色のリングが現れる現象「光環(こうかん)」。大気中に舞った花粉によるものは特に「花粉光環」と呼ばれる。今春もスギ花粉の最盛期に各地で観測された。
国内でのはっきりした報告は1999年に山形県衛生研究所と農林水産省農業環境技術研究所(当時)などから出た論文が初めてらしい。著者の一人の川島茂人・京都大名誉教授によると、すでに観測例のあった北欧の専門家との情報交換を経て、スギやマツ、コナラの花粉が原因の光環を確認した。
学生の卒業研究で取り上げたことがある岩渕弘信・東北大理学研究科准教授は「スギ花粉は直径約30マイクロメートルで球形に近い。大きさのそろった花粉が大気中にたくさんあれば、虹色がきれいに見える」と話す。
スギ花粉の飛散量次第で、今後も観測の機会は増えるのかもしれない。(米山正寛)