北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が権力継承から7年を経て、25日に初めてロシアのプーチン大統領と会談する。北朝鮮は金日成(キムイルソン)主席、金正日(キムジョンイル)総書記時代、中国とロシアの間でバランスを取り、それぞれから支援を引き出してきた。非核化をめぐる米朝協議の不調が、伝統外交の強化を促している。
北朝鮮にとってロシアは、前身のソ連が、第2次大戦中に抗日活動をしていた金日成氏を援助するなど、深い関わりがある。北朝鮮が1950年に始めた朝鮮戦争では、当時のソ連・スターリン政権から支持を得るとともに、中国から援軍の派遣を受けた。
東西冷戦下も、ソ連と中国の間でバランス外交を展開。双方から軍事と経済の両面で支援を引き出してきた。91年のソ連崩壊に伴う冷戦終結とロシアの経済難を受け、近年は対外貿易額の約9割を中国が占めるなど、経済面でのロシアの存在感は低下した。
ただ、ロシアは北朝鮮が貴重な外貨獲得源とする労働者を数万人規模で受け入れてきた。非核化をめぐる6者協議のメンバーでもあり、中国に次ぐ北朝鮮の後ろ盾として、北朝鮮側の主張に理解を示している。
正恩氏はこれまで中国の習近平(シーチンピン)国家主席と4回会談する一方、プーチン氏とは会っていなかった。韓国統一省によると、金日成氏はソ連の首脳と9回会談。金正日総書記もロシア首脳と4回会っている。
北朝鮮政治が専門の慶応大の礒…