きっと本物――。路上アーティスト、バンクシーの作品と似た絵が都庁で25日から公開され、多くの人が詰めかけた。各地で類似した絵が見つかっているが、扱いに苦慮する自治体も。「落書き」はどう扱うべきか。
同日、都庁で防潮扉に描かれていたネズミの絵を見たのは、家族連れや修学旅行生、外国人観光客ら2千人以上。じっと見つめたり写真に撮ったりし、「何か訴えるものがある」などと話した。
この絵を都が今年1月に保管した後、各地で「バンクシー風」の絵が次々に見つかり、話題になった。茨城県高萩市の防波堤には、風船に手を伸ばす少女の絵が。兵庫県西宮市の市道脇ではネズミの絵、千葉県九十九里浜の漁港でも風船と少女の絵など、過去作品と似た絵があった。中には、絵を見に来た人でにぎわう場所も。SNSには、絵の前でポーズを取って収まった写真も投稿されている。
バンクシーは型紙にスプレーを吹き付ける方法を使っており、類似した型紙を作れば、本人でなくとも「バンクシー風の絵」は描ける。現在のところ識者から「本人の作品である可能性が高い」と指摘されているのは、東京都が公開した絵だけだ。バンクシー監督の映画に登場することや、よく似た作品が「東京 2003」と記され作品集で紹介されているのが理由だという。
とはいえ、防潮扉の絵も、各地で見つかった真偽不明の絵もすべて、無許可の「落書き」だ。どの自治体も落書き行為を認めているわけではなく、心境は複雑だ。
落書き撲滅に力を入れる東京都…