犯罪捜査での電話などの通信傍受(盗聴)が、これまでの通信事業者の施設でなく、警察など捜査機関の施設で行えるようになる。この改正通信傍受法が6月1日に施行されるのを前に、警察庁は25日、全国の警察に専用パソコン141台を配備するなど、実施にむけた整備状況を明らかにした。手続きや運用の仕方を定めた改正国家公安委員会規則が同日決定された。
改正法は刑事司法改革関連法の一つとして2016年5月に成立。傍受の対象犯罪が拡大されるとともに、運用手続きが「合理化・効率化」された。現在は、携帯電話会社など通信事業者の施設を捜査員が訪れ、社員の立ち会いの下に実施しているが、警察の施設で立会人なしで行える。裁判所から得た傍受令状を事業者に示して実施するのは従来と同じだ。また、通話などを一時的に保存した上で後から再生する方法も可能になる。
傍受に対応できる事業者の施設は東京が中心で、遠隔地の警察からも捜査員が出向き、傍受期間中、詰める必要があった。事業者側の負担も重かったという。
新たな方式では、事業者と都道府県警本部を回線で結び、傍受した通信を暗号化したデータで送信する。各本部で会議室など1カ所から数カ所を傍受の実施場所として整備。専用のパソコン(特定電子計算機)141台が既に配備され、今年度中に188台まで増やす計画という。
立法時には、通信傍受の乱用の…