米トランプ政権が、イラン産原油の禁輸制裁の適用除外を日本などに認めてきた措置を廃止すると発表したことに対し、安倍晋三首相は28日昼(日本時間29日未明)、カナダ・オタワで「イランとの伝統的な友好関係を活用して、地域の平和と安定に向けて貢献したい」と述べた。圧力ではなく、対話を通じた問題解決をはかる考えを示した。
カナダのトルドー首相との共同記者会見で語った。安倍首相はエネルギー供給や世界経済への影響に懸念を示し、「中東地域の安定化に向けてイランの建設的な役割は極めて重要だ」と主張。米国を念頭に関係国の建設的な対応を求めた。
また安倍首相は、韓国による被災地などの水産物の全面禁輸を事実上、容認した世界貿易機関(WTO)上級委員会について、「紛争解決に資さない形で結論が出されるといった議論がある」と改めて不満を表明。日本が議長国として6月に大阪で開く主要20カ国・地域(G20)首脳会議で、WTO改革の議論を主導していく考えを示した。
欧米6カ国への訪問を終えた安倍首相は28日夕(日本時間29日朝)、政府専用機でオタワを出発し、帰国の途に就いた。(オタワ=別宮潤一)