技に自分の名前がつく。大会で順位を争うだけでなく、体操にはそんな「やりがい」もある。4月27日にあった全日本個人総合選手権の種目別トライアウトで、跳馬のスペシャリスト米倉英信(福岡大)が新技「ヨネクラ」を披露した。そもそも、どうしたら名前がついて、日本では誰が個人名のつく技を持っているのか。
勢いよく米倉がロイター板をける。跳馬に横向きに手をついて舞い上がり、伸身の姿勢で宙返りする間に、体を2回半ひねる。着地で1歩動いたが、「過去最高の出来」。得点は昨秋の世界選手権の種目別で優勝した選手を上回る15・266が出た。
ヨネクラは1972年ミュンヘン五輪金メダルの笠松茂さんが開発した「カサマツ(カサマツ跳び)」の発展形。カサマツが屈伸姿勢で4分の3ひねるのに対し、ヨネクラはより難度の高い伸身で、しかもひねる回数も多い。この約50年で、いかに体操が進化しているか分かる。技の難度を示すDスコア6・0は、現在の跳馬で最も高い。
米倉はこの技を2月のワールド…