陸上の木南道孝記念は6日、大阪・ヤンマースタジアム長居であり、女子やり投げで北口榛花(はるか)(日大)が64メートル36の日本新記録で優勝した。従来の記録は2015年に海老原有希(スズキ浜松AC)が出した63メートル80。北口は今秋のドーハ世界選手権と来年の東京五輪の参加標準記録を破った。
男子100メートルは山県亮太(セイコー)が10秒21(追い風0・1メートル)で制した。多田修平(住友電工)が10秒28で2位だった。
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高く飛び出したやりが、大きな放物線を描いた。この日の5投目。21歳の北口は初めての手応えを感じる。「助走も、やりの角度も。頼むからいってて」。両手を合わせた。数秒後、64メートル36の記録が表示されると、口元を覆いながら跳びはねた。
これまでの日本記録を56センチ更新し、東京五輪の参加標準記録(64メートル00)も上回った。絶好調ではなかっただけに、驚きもひとしおだ。朝起きたら鼻血が出ていて、ウォーミングアップ中にも再び出てきたという。ティッシュを鼻に詰めて会場入りし、「記録が出なかったら鼻血のせいにしようと。逆にリラックスできたのかも」。えくぼを出して笑う。
身長179センチ、体重86キロ。旭川東高(北海道)時代の2015年に世界ユース選手権で優勝したが、日大進学後は右ひじ痛もあり、低迷していた。巻き返しを誓い、今年2月に1人でチェコへ。世界記録保持者のシュポタコバから助言を受けた。嫌いだった下半身を鍛える練習も取り入れ、「楽に走れるようになった」。
次の目標は65メートル超えだ。「日本人でも世界と戦えるところを見せたい」。日本記録は通過点。見据えるのは世界の表彰台だ。(山口裕起)