中国商務省は8日、米トランプ政権が2千億ドル(約22兆円)分の輸入品への対中制裁関税の税率を10日から25%に引き上げると官報で通知したことを受け、「米側の関税措置が実行されれば必要な報復をせざるを得ない」との声明を発表した。「貿易摩擦のエスカレートは両国と世界人民の利益にそぐわず、これを非常に残念に思う」と述べ、報復の内容は明かしていない。
9日には中国の劉鶴(リウホー)副首相が訪米し、関税引き上げ間際の最終交渉に当たる。トランプ米大統領は8日、ツイッターに「ディール(取引)したいから副首相が来ると言ってきた。まあいいけど、年に1千億ドル以上の関税が入るのが楽しみだ!」と投稿。年間5千億ドル規模の輸入品全てに関税をかける可能性もあると牽制(けんせい)した。
さらに「中国がごねたのは、バイデンや弱虫の民主党候補と交渉して、年5千億ドルを盗み続けられると期待したからだ」とも述べた。野党民主党の次期大統領選候補、ジョー・バイデン前副大統領の最近の発言が「中国に甘い」との批判を集めており、トランプ氏がバイデン氏との違いを鮮明にしようとしたことが、対中強硬姿勢に転じた一因となった可能性がある。(北京=福田直之、ワシントン=青山直篤)