プロ野球を統括する日本野球機構(NPB)が18~19日にかけて、任天堂の人気ゲーム「スプラトゥーン2」の日本一を決めるeスポーツの大会を開催した。野球とはまったく関係のないシューティングゲームの大会をなぜ、NPBが開くのか。その狙いと課題を探った。
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ソフトバンクとDeNAのユニホームを着た選手がステージに上がると、約1千人の観衆から大歓声があがった。日本一の座を争った19日の日本シリーズは視察に訪れたNPB関係者も「すごい」と驚く熱狂ぶり。決勝の余韻が残る表彰式で、NPBの斉藤惇コミッショナーは訴えた。
「野球に興味を持ってもらいたいと思い、今回の企画をセットしました。どうか、野球もかわいがってください」
「まずは野球の認知を」
今回の大会で使われたスプラトゥーン2は世界的に人気のシューティングゲーム。NPBの担当者は「我々がリーチできていない若い世代、特に10~20代の女性をターゲットにしたかった」と狙いを語る。NPBは昨年、eスポーツ人気の高まりを受け、実在のプロ野球選手がゲームに登場する「パワプロ」の大会を初めて開いた。ただ、パワプロの愛好家は野球好きが多く、参加したのは男性選手のみだった。
「スポーツマーケティング基礎調査」(三菱UFJリサーチ&コンサルティングとマクロミルによる共同調査)の推計では、2008年に約4491万人とされていたプロ野球ファンは18年には2775万人と年々減少している。若い世代に人気のあるゲームを使い、「球団名すら知らない人に、まずは存在を認知してもらいたい」という試みだった。
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