勤務先の有料老人ホーム「サニーライフ北品川」(東京都品川区)で、入所者の男性(82)を暴行して殺害したとして、警視庁は22日、元介護職員の根本智紀容疑者(28)=東京都新宿区=を殺人の疑いで逮捕し、発表した。調べに「暴行を加えたことはありません」と供述し、容疑を否認しているという。
捜査1課によると、根本容疑者は夜勤だった4月3~4日、施設内で黒沢喜八郎さん=品川区=に暴行を加え、殺害した疑いがある。黒沢さんは翌5日朝に搬送先の病院で死亡した。司法解剖の結果、肋骨(ろっこつ)が折れており、内臓破裂に伴う出血性ショック死だったことが判明。同庁は暴行の程度が強かったとして殺意があったと判断した。
部屋を訪れた別の職員が黒沢さんの異変に気づき、4日午前1時45分ごろ、施設を通じて119番通報していた。
施設の運営会社によると、黒沢さんは3月初めに入所。自力で歩くのは難しい状態だった。同社は事件後、根本容疑者を解雇した。
高齢者施設で起きた入所者の主な死傷事件
・2014年11~12月
川崎市の有料老人ホームで当時86~96歳の男女3人が相次いで転落死。ベランダから投げ落としたとして職員だった男が殺人罪で起訴され死刑判決
・17年7~8月
岐阜県高山市の介護老人保健施設で当時80~93歳の男女5人が死傷。うち2人に対する傷害致死と傷害罪で職員だった男が起訴
・17年8月
東京都中野区の介護付き有料老人ホームの浴室で男性(当時83)が死亡。浴槽に沈めて殺害したとして職員だった男が殺人罪で起訴
・18年8月
熊本市のグループホームで女性(当時88)が死亡。腹を殴るなどして死亡させた傷害致死罪で職員だった男が起訴され実刑判決
・19年1月
神奈川県横須賀市の老人ホームで女性(当時89)が死亡。首を絞めて殺害した殺人罪などで職員だった男が起訴