プラスチックの表面に特殊な印刷を施すことで、金属のような見た目にする技術を、東京の印刷会社が開発した。高級感を出しつつ、金属ではないので光や電波を通すため、スマートフォンの画面などにも使えるという。
新技術を開発したのは、東京都板橋区の技光堂。プラスチック製リモコン操作ボタンなどへの特殊印刷を手がけている、従業員40人ほどの中小企業だ。
透明なプラスチックの表面に金属のような質感を持たせる印刷技術の開発を始めたのは3年ほど前のこと。金属加工の職人が減り、表札など金属製銘板の作り手不足に対応したのが最初だ。一見、金属に見えるネームプレートなどにも採用された。
今回の新技術では、インクを独自に配合して、光の透過率を調整している。スマホやスマートウォッチなどに使えば、金属の画面から文字が浮き出すように見える。
22日に大阪市で始まったプラスチックの見本市に出展したところ、さっそく大手電機メーカーなどから問い合わせが相次いだ。技光堂の佐藤英則・営業本部長は「スマホだけでなく、スマート家電や電動化が進む車のインパネ(計器盤)にも応用できるはずだ」と期待している。(辻森尚仁)