飛鳥時代の最大規模を誇る方墳だったことが明らかになった奈良県明日香村の小山田(こやまだ)古墳(7世紀中ごろ)をめぐって、専門家2人が対談する公開講座「飛鳥・小山田古墳を再び問う」が7月15日、大阪市北区の朝日カルチャーセンター中之島教室で開かれる。小山田古墳は2014年に偶然に発見されて以来、未知の古墳として被葬者像などをめぐって注目されてきた。今回の対談では最新の調査成果を盛り込み、被葬者像のほか、飛鳥時代史の中での小山田古墳の位置づけなど幅広いテーマで討論する。
対談するのは、小山田古墳を発見したときに奈良県立橿原(かしはら)考古学研究所(橿考研)の調査課長として調査を率いた今尾文昭(ふみあき)・関西大非常勤講師(考古学)と、明日香村で数々の遺跡を調査してきた相原嘉之(あいはらよしゆき)・村教育委員会文化財課長(考古学)の2人。今尾さんが「古墳の終末と小山田古墳を考える」、相原さんが周辺の遺跡との関係を視野に入れて、「小山田遺跡と甘樫丘(あまかしのおか)遺跡群」のテーマで講演する。休憩後、塚本和人・朝日新聞大阪本社生活文化部次長の司会で2人が対談する。
小山田古墳は養護学校の建て替え工事に伴い、橿考研が発掘調査した結果、石張りの大きな掘割(ほりわり)(濠(ほり))が出土し、未知の巨大古墳の存在した可能性が明らかになった。その後も橿考研が継続的に調査を進め、石室の一部が出土したことで古墳の存在が確定。昨年12月からの調査では、古墳の東西幅が80メートル以上になることが分かったほか、崩れた盛り土の中から7世紀後半~8世紀初めの土器を重ね合わせた土器棺墓(どきかんぼ)もみつかった。
被葬者像をめぐっては、主に7世紀前半に即位した舒明(じょめい)天皇説か、天皇をしのぐ権力を持ったとされる大豪族の蘇我蝦夷(えみし)説に分けられる。対談では「舒明説」の今尾さんと「蝦夷説」の相原さんが、最新の知見に基づいて議論を進めるとみられる。
午後3時半~6時。カルチャー会員3996円、一般4320円。定員70人。問い合わせは朝日カルチャーセンター中之島教室(06・6222・5222)へ。(渡義人)