特殊詐欺被害に遭いそうになった群馬県富岡市の女性(76)を、信金職員が守った。この女性は「感謝の気持ちを表したくて」と、30日に群馬県警富岡署であった感謝状の贈呈式に同席。「手口は知っていたのに、キツネに化かされたみたいだ。指摘で目が覚めました」とお礼を述べた。
署や女性によると、9日正午ごろ、女性と同居する長男を名乗る電話があった。「携帯電話をなくした。のどの調子が悪いから、声が違うけど驚かないで。咽頭(いんとう)がんで入院するかも」などと現金を求められた。口調が普段より丁寧なので「変だな」とは思ったが、「助けないと大変」と信じた。預金を引き出すため、市内のしののめ信用金庫本店営業部へ向かった。
対応した窓口の橋爪芙実(ふみ)さん(35)は女性の「親戚に不幸があり、150万円必要」という言葉に疑問を持った。「親戚にしては、額が大きい」。詳しく事情を聴こうとするが、女性は「うーん」と言葉を濁す。女性は電話で「ばれると仕事をクビになる」と口止めされていた。
橋爪さんが「最近は詐欺も多いので」と促すと、女性が正直に電話の内容を話し始めた。その後警察に通報し、被害を水際で防いだ。「これからもお客様目線で大切な財産を守りたい」と橋爪さん。この日、県内には同様の予兆電話が少なくとも十数件あった。
また、200万円の被害を防いだ富岡七日市郵便局の岡部綾子さん(35)にも感謝状が贈られた。(山崎輝史)