安倍晋三首相が12日、イランを訪問してロハニ大統領と会談した。日本の首相のイラン訪問は41年ぶりで、1979年のイラン・イスラム革命で親米のパーレビ王制が崩壊して以降、初めてとなる。13日には最高指導者ハメネイ師とも会談する。イランと米国の緊張が極度に高まる中、安倍首相が両国の橋渡しをできるのか。イランの人々の間で期待と不安が入り交じる。
行きたい国「イランだね」即答 首相に9年前の後悔あり
イラン大統領「米国との戦争を求めない」 首相と会談
「イランにとって、第二の『日章丸』になれるかもしれない」
イラン政府関係者は安倍首相のイラン訪問と仲介の試みを、こう評して期待を込めた。日章丸とは、1950年代、石油施設などを欧米の国際石油資本から国有化し、国際的に孤立したイランから、世界で初めて原油を輸入した日本のタンカーのことだ。日本では映画や小説で脚光を浴びたエピソードだが、イランでも両国の友好関係を示すものとして、語り継がれている。
イランにとって原油収入が経済の生命線であることは50年代も現在も変わっていない。米国の原油全面禁輸に苦しむイラン。ロハニ政権は周辺国にも伝えているように「原油制裁が緩和されれば米国との対話に応じる用意がある」と安倍首相にも伝達し、事実上の仲介と伝言を託したとみられる。
イランは表向きは、「仲介は求めていない」とする。だが、ザリフ外相が「問題を解決するには米国が仕掛けてきた経済戦争を終わらせるしかない」と語る。何らかの橋渡しを得て米国と向き合い、制裁緩和・解除を引き出さねばならないのも事実だ。
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