東京・池袋で4月、乗用車が暴走して母子が死亡、10人が重軽傷を負った事故で、警視庁は13日、車を運転していた旧通産省工業技術院の飯塚幸三・元院長(88)を現場に立ち会わせて実況見分した。本人の供述を元に車を走らせ、事故の状況を確認した。
捜査員らは午前9時45分ごろ、母子がはねられた豊島区東池袋4丁目の都道交差点で手を合わせ、見分を始めた。捜査員が事故車と同型の車を運転し、飯塚元院長は後部座席に座った。
事故車が最初に接触した縁石の周辺を確認。約150メートルにわたって暴走した経緯をたどった。母子ら通行人をはねた交差点付近では飯塚元院長も両手に杖をついて車から降り、捜査員に説明した。元院長は「ブレーキが利かなかった」と供述しているといい、記憶を元に事故の状況を確認したとみられる。
捜査関係者によると、事故車のブレーキやアクセルに異常は見つかっていない。元院長は事故で胸の骨折などの重傷を負って直後に入院し、5月18日に退院したが、同庁は証拠隠滅の恐れがないなどとして在宅捜査を進めている。都公安委員会は5月31日、今回の事故を理由に運転免許の取り消し処分を出した。
事故は4月19日に発生。元院長の車が縁石に接触後、赤信号の交差点二つを含む区間を暴走し、通行人らを次々にはねた。(稲垣千駿、河崎優子)