早ければ半年の命ですね――。がんになってこんな余命宣告を受けたら、ショックを受けない人はいないでしょう。ドラマや映画で、「もってあと○カ月」などと、患者が言われる場面もよく見かけます。でも、そうした余命の予測って、どこまで信じて良いのでしょうか。そして、余命予測の研究はどこまで進んでいるのでしょうか。
「人には四つの死に方がある」 二刀流の緩和ケア医語る
腫瘍(しゅよう)内科医の押川勝太郎さんは、各地でがん治療に関する市民向け講演会をたびたび開催、がん専門医の「ユーチューバー」として、ネット上に公開している。特に、進行がんなどで重要になる緩和ケアへの説明には力を入れている。余命予測への患者からの問い合わせも少なくない。
押川さんによると、医師が見立てる余命は科学的根拠に乏しく、経験や主観に頼ったものが多いという。また、抗がん剤の臨床試験での生存期間のデータにもとづいて、医師が余命の期間を挙げることもあるが、あくまで試験に参加した人の生存期間の中央値(全体のうちの半数の患者さんが亡くなる時期)にしか過ぎない。臨床試験の参加者とは違う年代や状態の人には、一概にあてはめにくい。
押川さんは「がん患者の余命は本当にわからない。やさしい医師ほど厳しめに言えず準備が遅れたり、逆に厳しい医師ほど、早々と見通しのない治療をやめて楽な期間つくってもらったりするなどの場合もあり得る」と話す。
国立がん研究センター(東京都)は、同センターで治療を受けている75人の進行がん患者に対する医師らの余命予測を検証したことがある。
その結果、患者の余命を正確に…