大阪市で28~29日に開かれる主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)でとりまとめる首脳宣言の原案が判明した。力強い世界経済の成長を促す手段として「自由貿易の促進」との文言が盛り込まれた。米国の反対で「反保護主義」を打ち出しにくい中、活発な貿易に前向きな姿勢を示すぎりぎりの表現を探っているとみられる。
【特集】G20大阪サミット
首脳宣言は29日のサミット閉幕とともに公表される。原案は各国首脳の補佐役らで議論しており、今後も変更する可能性がある。
原案では、序文で世界経済に焦点を当て、経済のデジタル化といった技術革新と並び、「自由貿易の促進」を成長をもたらす中核として位置づけている。
G20サミットは2008年に始まったが、昨年、アルゼンチンのブエノスアイレスであったG20サミットの首脳宣言で初めて「保護主義に対抗」との文言が削除された。中国との貿易紛争を仕掛けた米国が反対したためだ。今回の首脳宣言でも特定の国を意識した具体的な文言を入れ込むことは難しい。今月上旬にあったG20の財務相・中央銀行総裁会議など二つの経済閣僚会議の共同声明にも入らなかった。
ただ、米中の貿易摩擦が世界経済最大の懸念として強く意識される中、欧州などからは強い文言での言及を求める声が出ている。「自由貿易の促進」は、米中ともに受け入れられる着地点として、原案作りを主導する議長国の日本などが探っている模様だ。G20財務相・中央銀行総裁会議が打ち出した「貿易を巡る緊張の増大」の言及も検討する。
成長のもう一つの核として言及…