京阪神や東京と徳島県を結ぶ高速バス会社「海部観光」(徳島県美波町)が、ICT(情報通信技術)を使った運行管理システムの実証実験を7月1日に始める。大阪便の1台で1カ月間実施。車両のふらつきや運転手の眠気、走行速度などの記録をリアルタイムに本社で把握し、事故の未然防止につなげるねらいだ。
システムを担った富士通マーケティング(東京都)によると、バス業界では初の試みだという。車線の逸脱や衝突の危険を知らせるカメラセンサーと運転手がつけた眠気防止センサー、ドライブレコーダーを通信機能のある運行記録計(タコグラフ)とつなぎ、本社の運行管理者が把握できるようにする。
眠気の予兆や事故の危険を察知すると、センサーが発する警報に加えて、運行管理者が直接、運転手に注意を促せる。事故が起きた場合、ドライブレコーダーの事故前後の映像をすぐに本社で確認できる。実証実験では、運行前のアルコールチェックや記録簿の作成ができる点呼支援ロボット1台も置き、運行管理者の負担を軽減するという。
海部観光の打山昇会長は「運転手も高齢化しており、安全運行には会社も一体となった対策が必要。将来は40台すべてに導入したい」と説明した。運転手の滝口大史さん(44)は「運行管理者や整備担当者らにサポートしてもらえるのはありがたい」と話した。
同社はG20大阪サミットのため、27~30日の大阪便を運休中。この期間を使い、運転手にシステム導入に向けた講習会を開いた。(福家司)