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「なんだ、この歌は」OBが野球部歌披露、時代超え復活

♪久遠の歴史、球部の栄誉、輝く心の喜びぞ……


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鎮西学院(長崎県諫早市西栄田町)の新しい野球グラウンドの完成を祝って昨年8月に開いた落成式でのこと。グラウンドの工事に寄付をしたOBが歌を歌った。


「長崎鎮西学院高等学校野球部部歌」。出だしは四分の四拍子で校歌のような雰囲気だが、後半は全て英語の歌詞で、リズムもアップテンポになる。現役部員らが初めて聞く、耳慣れないメロディーだった。


「なんだ、この歌は」。村井博史監督(49)は驚いた。



歌を披露したOB、牧平年広さん(85)によると、牧平さんが入学した1946年にこの部歌はあった。同校は1881年の創設。歌がいつごろ作られたか定かではないが、キャッチーな英語部分は明治末期の1910年ごろ、当時の学院長が「応援歌としても歌えるように」と考えて付け加えたものだと、先輩から聞いた。


牧平さんは「美しい日本語と、ミッション系の学校らしい英語の歌詞で、野球部の誇りを表していると思います」と語る。


戦前、長崎市に住んでいた牧平さん。近所のグラウンドで大人たちが野球をしているのを見てルールを覚え、野球好きになった。戦時中も、石を芯に綿と布を巻き付けてボールを作り、木を切り出したバットで野球をするほどだった。


戦況が悪くなり、母の郷里の北高来郡深海村(現諫早市高来町)に疎開した。最初は村になじめなかったが、終戦後に村の倉庫を整理すると野球道具が出てきた。ルールを熟知していた牧平さんは、たちまち村の人気者になった。


終戦の翌年、鎮西学院が長崎市から諫早市に移転した。歴史もあり強いと評判だった同校の野球部に牧平さんも入部し、投手や内野手として活躍した。


「野球のおかげで疎開先でも楽しかった。仕事で野球の縁が役立ったこともある。僕の人生は野球で成り立っています」。野球には感謝してもしきれない。だから、現役の球児のためにグラウンドの工事に寄付をした。


□ □


落成式で初めて部歌を聞いた野球部員は、2018年10月、OBが集まる同窓会で歌を披露した。牧平さんが持っていたCDを借り、部員全員で練習した。


主将の佐藤虹輝君(3年)は「せっかく部を象徴する歌があるから、後輩にも伝えていきたい。歌詞もかっこいいと思います」


同校は、昨夏の全国高校野球選手権長崎大会でベスト8に進出。村井監督は「グラウンドができたことで、練習環境が飛躍的によくなった」と話す。佐藤君も「目標はやっぱり、甲子園です」。そのために日々グラウンドで汗を流す。部歌の後半の英語詞のように輝くために。


♪The sun comes up, the moon comes up,the Chinzei well shine.(弓長理佳)


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