世界初の公衆電話ボックスは1878年に米国のサンフランシスコに登場した。上海の街角にも公衆電話が登場したが、携帯電話が普及するにつれて、その利用率は大幅に低下していった。そして今、この昔日の面影を残す街の風景は、モデル転換の道を歩んでいる。
公衆電話をどうやって有効に利用するか?
上海の淮海中路と思南路との交差点の近くに、赤い公衆電話ボックスがある。見た目は昔のままだが、内部では新しい「化学反応」が起きている。内部には5G小型基地局が設置されて、周辺エリアの5Gネットワークの質は目に見えて向上した。
このボックスのところで、作業員が5Gスマートフォンを取り出して実測していた。作業員が速度テストソフト「スピードテスト」を開いてスタートボタンを押すだけで、数秒後には結果がわかり、下りは830Mbps、上りは60Mbpsだった。何度かテストして、5Gネットワーク速度は800Mbps前後で安定しており、4Gネットワークの10-20倍前後になることがわかった。ここで高精細の動画を見ると、バッファリングによるタイムラグやフリーズが少しもなく、画質は非常に精細だった。
中国電信上海公司の関係者は、「現在、電話ボックスに5G屋外基地局を設置する事業を始めたところで、淮海中路と思南路の交差点のこの電話ボックスを含め、第1弾として電話ボックス数十ヶ所の5G改修を進める予定だ」と述べた。
こうした5G電話ボックスは主に上海市の中心エリアに分布し、今後このエリアでは、街をブラブラしながら、5Gの高速ネットワークを利用することができるようになる。上海電信は年内に電話ボックス100ヶ所以上の5G基地局設置を終えるとしている。
3Gと4Gに比べて、5Gは相対的に高い周波数を利用するため、より多くの基地局を建設しなければ、良好なネットワークのカバー状態を実現することができない。しかし街の中心エリアで、適切な5Gアクセスポイントを見つけるのは簡単なことではない。上海電信は、「既存の電話ボックスを利用して、ここに小型基地局を設置すれば、5G屋外広域アクセスポイントが十分にカバーしていない地域を補完し、利用が集中するエリアの5G電波のシームレスなカバーを実現するための良策だといえる。電話ボックスという街の風景に、5G時代における新たな役割を持たせることもできる」と説明した。
公開された資料によれば、2019年4月現在、上海には無人の電話ボックスが5443ヶ所あり、中環路以内の主要道路の交差点やパブリックスペース、商業施設、公共サービス施設周辺に設置されている。上海電信の関係責任者も、「移動通信業務の普及にともなって、電話ボックスを利用する人がますます少なくなり、通話料収入もますます減少している」と明かした。
同責任者は、「しかし、電話ボックスは市民の日常の通信手段というだけでなく、110(警察)や119(消防)などの緊急電話をかけるときに必要になるため、すべて撤収というわけにはいかない。基礎的電気通信役務を担う事業者として、当社の未来の電話ボックス発展計画においても、引き続き社会の普遍的サービスの責任と義務を維持・履行すると同時に、イノベーションモデルを加え、電話ボックスの良好な発展を推進していく」と述べた。
上海電信では、これまでに電話ボックスのWiFi改造を終えている。「ChinaNet WiFi」マークのある電話ボックスの近くでは、中国電信のWiFiネットワークを利用することができ、一時的なネット接続のニーズに応えている。同時に、市民は緊急時に公衆電話で110、119、120(救急車)などの緊急電話を無料でかけることができる。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年5月27日