日本の菅義偉首相は18日から4日間の日程でベトナムとインドネシアを訪問している。新華社が伝えた。
菅首相が就任後初の訪問国に東南アジアの両国を選んだのには、ASEAN諸国との関係強化、日本の経済回復の推進といった様々な考えがあったと指摘される。菅政権は今後、安倍晋三前首相の外交政策を概ね引き継ぐ見通しだ。
■ASEANとの関係強化
慣例により、日本の首相は初訪問国に大方の場合、関係の緊密な同盟国である米国か、初出席する国際会議の主催国を選ぶ。だが現在は新型コロナウイルスの感染が依然として世界各地で猛威を振るい、国際会議の多くはオンライン開催に変更されており、米国も大統領選間近で、いずれも初訪問国には相応しくない。
また、ベトナムは今年のASEAN輪番議長国であり、現地には日本企業が少なからず進出している。インドネシアはASEANで最大の人口を擁す国、ASEAN本部の所在国であり、G20の構成国でもある。両国共に東南アジアで重要な影響力を持つ。日本世論は、菅首相は今回の訪問を通じてASEAN諸国との関係を強化し、特に安全保障協力の分野で日米の推進するいわゆる「インド太平洋戦略」の枠組みに引き続きASEAN諸国を取り込むと見ている。
日本は菅首相の訪問を通じて両国の技能実習生の速やかな来日を実現して、日本経済の回復に資することも望んでいる。日本法務省の統計によると、2019年末時点で、日本では約41万人の外国人技能実習生がおり、このうちベトナム人が最多の約22万人で、インドネシア人も上位に入っている。新型コロナ流行の影響を受けて、現在では多くの技能実習生が来日できず、日本各地の農業、製造業、建設業などに深刻な労働力不足を招いている。菅首相は先日の自民党の会議で、技能実習生の来日などの問題について両国と協議したい考えを表明した。
■安倍政権の政策を継承
安倍氏の後継者として就任した菅首相がどのような外交政策を推し進めるのかが注目されている。日本メディアは、政権初期は安倍時代の政策を引き継ぎ、足元を固めた後に、独自性ある措置を徐々に打ち出すかもしれないとの見方で一致している。
菅首相は選出後「基本的に安倍政権の外交方針を継承する。日米同盟を基軸に外交活動を繰り広げ、安倍政権期に形作られた『自由で開かれたインド太平洋』構想を推し進めると同時に、中露などアジア近隣諸国との安定した関係の構築も推し進める」と表明する一方で、「私には私の外交姿勢がある」ともした。
共同通信は、菅首相は政権初期にはなおさらに極端な手段は避け、特に近隣諸国と過度の摩擦を生じないよう注意し、慎重で保守的な外交政策を取ると見る。ある日本の学者は、菅首相は外交事務に熟練した高官の知恵をより多く借りると同時に、安倍政権期の政策との方向性の一致にも注意すると見る。
日本のインド太平洋構想は米国の「インド太平洋戦略」と呼応しており、両国は連携してインド太平洋地域で対抗的な地政学的駆引き戦略を試みていると指摘される。これはASEAN中心の地域協力枠組みに打撃を与え、域内各国の利益には全くならず、ASEAN各国に受け入れられるのも難しいとみられる。(編集NA)
「人民網日本語版」2020年10月20日