外務省は2025年4月28日、日中韓3カ国の首脳会談を5月下旬に東京で開催すると発表した。この会談は2019年以来、約6年ぶりの開催となり、経済協力や環境問題、北朝鮮の核開発問題などが主要議題となる見込みだ。日本の石破茂首相は「3カ国の協力を通じて、アジア太平洋地域の安定と繁栄を目指す」と意気込みを語った。

近年、日中韓の関係は、歴史問題や領土問題を巡る緊張が続いていたが、経済的な相互依存の高まりから、協力の必要性が再認識されている。特に、グローバルサプライチェーンの再構築や、気候変動対策での連携が期待されている。今回の会談では、EV電池のリサイクル技術の共同開発や、再生可能エネルギーの普及に向けた枠組み作りも議論される予定だ。

しかし、国内では慎重な意見も根強い。特に、中国の海洋進出や韓国の対日姿勢を巡る懸念から、野党の一部は「成果を急ぐあまり、日本の国益が損なわれる可能性がある」と警告している。外務省は「対話を通じて信頼を構築し、具体的な成果を出すことが重要」と強調する。

国際社会もこの会談に注目しており、米国のバイデン政権は「日中韓の協力はインド太平洋戦略の強化につながる」と歓迎の意を表明。一方で、専門家は「3カ国の利害が一致する分野は限られており、具体的な合意に至るにはハードルが高い」と分析する。会談の結果がアジアの地政学にどのような影響を与えるか、注目される。