分子科学研究所と日立製作所は2025年4月28日、日本初の「中性原子方式」量子コンピューターの商用化を2025年内に開始すると発表した。この技術は、従来の超伝導方式やイオントラップ方式と異なり、極低温環境を必要とせず、エネルギー効率が高い点が特徴だ。

開発チームは、256量子ビットの試作機をすでに稼働させており、年内には512量子ビット規模の商用機を企業向けに提供する計画だ（@nikkei, 2025-03-01）。 中性原子方式は、レーザー光を用いて中性原子を捕捉し、量子状態を制御する技術で、化学反応のシミュレーションや最適化問題の解決に強みを発揮する。発表会では、製薬企業との共同研究で、新薬開発の分子設計時間が従来の1/10に短縮された事例が紹介された。しかし、専門家は「量子コンピューターの実用化には、誤り訂正技術の確立が課題」と指摘する。

経済産業省は、このプロジェクトに対し、2025年度予算で200億円の支援を決定。国際競争では、米国や中国が超伝導方式で先行しているが、日本は独自の中性原子方式で差別化を図る戦略だ。日立の担当者は「日本の量子技術は産業応用で世界をリードする可能性がある」と強調。すでに自動車や金融業界から引き合いがあり、2026年には市場規模が1000億円を超えるとの予測も出ている。

一方、ネット上では「量子コンピューターの恩恵は一般人にいつ届くのか」との声も。実用化が進む中、技術の社会実装と教育の両面での取り組みが求められている。