ヤンキースのブライアン・キャッシュマンGM(38)と、松井秀喜外野手(31)の代理人アーン・テレム氏(51)が9日(日本時間10日)、松井の契約延長交渉を行った。約2時間の交渉で基本合意には至らなかったが、ヤ軍側は13日以降に行われる次回交渉で最大で4年総額4800万ドル(約56億6400万円)まで譲歩するとみられる。マリナーズのイチロー外野手の4年総額4400万ドルを上回る日本人最高額でヤ軍に残留する可能性が高くなった。
交渉を終えたキャッシュマンGMとテレム氏はアフターマンGM補佐とともに宿泊先のホテルに戻ってきた。3人は「非常にいい夜だった」と和やかな雰囲気を強調。そして大きく交渉が前進したことを明かした。
「ヒデキは残留したいと思っているし、われわれも残ってほしいと思っている。連絡を取り合いながら合意したい」(キャッシュマンGM)
「建設的な話ができた。目標には到達していないが、前進している」(テレム氏)
何度も電話でお互いの主張を整理した上での“第1回直接交渉”は約2時間。場所はキャッシュマンGMの希望で寿司店ではなく、高級ステーキ店だった。テレム氏はイチローが03年12月にマリナーズと契約した際の4年総額4400万ドル(約51億9200万円)をモデルケースに主張。これに対して、球団側は3年を基本線に提示したもようで、この日は基本合意までは至らなかった。
だが、10日付のデイリー・ニューズ紙は球団関係者の話として、ヤ軍は4年契約で年平均1000万~1200万ドルまで譲歩する用意があると伝えた。日本人最高俸のイチロー超えの可能性も十分ある条件提示で一気に決着を図る考えだ。
さらに、5年目の契約オプションがつくとの情報もあり「自分を必要としてくれるかどうか。ヤンキースが求めてくれていればそれに越したことはない」と話す松井にとっても申し分ない条件が次回交渉で提示されることになりそうだ。
テレム氏は「ヒデキはフィールド内外で多くのものをチームにもたらしている。これまでの実績を考慮され、フェアに扱われるべきだ」と契約の細部まで好条件を引き出す考え。今後はキャッシュマンGMが「個人的にはない方がいい」と話す「トレード拒否条項」などを要求して、松井がプレーに専念できる環境づくりを進める。
テレム氏は12日にニューヨーク入りして松井に経過を報告。13、14の両日にキャッシュマンGMと最終交渉を行う。松井の保有権はヤ軍との取り決めで15日まで。テレム氏は「パジャマを持って、彼(キャッシュマンGM)の家に行こうかな」と冗談めかしたが、双方に悲壮感はない。
残留が決まれば、ヤンキースタジアムで会見が行われる予定。その席上では大型契約の内容に注目が集まることになる。