第35回全日本実業団ハーフマラソン(日本実業団陸上競技連合主催、毎日新聞社など後援)は11日、山口市の維新百年記念公園陸上競技場を発着点に、男女約280人が出場して行われた。男子は終盤まで十数人の集団が崩れない混戦。競技場手前で飛び出した前田和浩(九電工)が1時間2分10秒で初優勝した。2位はアジア大会一万メートル代表の大森輝和(四国電力)、3位は米田尚人(コニカミノルタ)だった。
女子は1キロ過ぎで飛び出したオンゴリ・フィレス(ホクレン)が独走して1時間9分50秒で初優勝。2位に平良茜(OKI)、3位に尾崎好美(第一生命)が入った。
◇前田、競技場手前で一気のスパート
写真写りが悪いので、ゴールする時はサングラスを外すという、ちょっとした“決まり事”がロードレースにはある。だが、前田はそれを忘れていた。「優勝できるとは思っていなかったのでびっくりした。必死だったのかな」と苦笑い。
2週間前の熊日30キロの反省に立った。熊日では、序盤に飛び出したカンゴゴ(安川電機)についていくのをちゅうちょして2位に終わった。この日は「中途半端なことはやめて、思い切って勝つことだけを考えた」。序盤から集団前方の好位置をキープ。大森や植木(トヨタ自動車九州)の仕掛けにも軽々と対応した。
終盤はアジア大会代表の大森と二人で先頭争い。「最後まで粘られると大森さんの方がスパートがある」。大森を意識した仕掛けどころは競技場手前、一気のスパートで置き去りにした。
昨年は狙っていたアジア大会代表の座を手にした。今年の目標は1万メートルでの世界選手権代表。「強い人たちが出た大会での優勝はプラスだと思うし、自信になった」と前田。ロードシーズン最後のレースでの優勝で弾みをつけた。【百留康隆】
○…OKIの平良が積極的なレースで日本人トップの2位。「体調もよかったし、練習も積めていたので狙っていた」と笑みがこぼれた。序盤から飛び出したフィレスを追おうと、集団の先頭に立ってペースをつくった。競技場手前でのスパートも切れ味がよく「今年度のいい締めくくりができた」。出場したハーフはすべて6位以内という安定感に、平良は「マラソンも考えてみようかな」とおどけてみせた。
毎日新聞 2007年3月11日 19時15分 (最終更新時間 3月11日 19時33分)