今年は、11月17日が「世界COPDデー」(注)でした。この日を中心に毎年、世界各国で、COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease:慢性閉塞性肺疾患)に関するさまざまな啓発イベントが開催されます。日本では、都内の駅などで呼吸機能を測る検査が11月10、11日の2日間、無料で実施されました。
COPDは、“慢性的に気道が閉塞した肺の病気”という名前の通り、タバコなどの有害物質の刺激によって気管支に炎症が起こり、その結果、気道が狭くなったりふさがったりして、息が吐き出しにくくなる病気です。「肺の生活習慣病」と呼ばれるほど、喫煙習慣と密接なかかわりがあります。COPDの中には、細気管支炎や肺気腫、慢性気管支炎などが含まれると考えられています。
日本では、COPDは死亡原因の第10位(男性では8位)を占めており、しかも死亡者数は年々増加しています(図)。世界に目を向けてみると、COPDは現在、死亡原因の第4位を占めており、2020年には第3位になると推定されています。
COPDは、治療をせずに放っておくと、次第に呼吸機能が低下していき、最終的には、自宅での酸素療法が必要になるなど、日常生活に著しい支障を来すようになる重い病気です。しかし、日本での患者数は500万人以上と推計されている一方、実際に治療を受けている患者は20万人程度にすぎません。
これは、COPDの進行が遅い上に、自覚症状もせきやたん、息切れの増加といったありふれた症状なので、異常に気づきにくく、見過ごされがちなためです。裏を返せば、病気の進行が遅いので、早期に発見できて治療を始められれば、ある程度進行を遅らせることができるわけです。
(1)風邪でもないのによくせきが出る、(2)毎朝、ねばねばしたたんが出る、(3)坂道や駅の階段を上るなど、体を動かすと息切れを感じる――の、いずれかに当てはまる症状があり、現在または以前、タバコを吸っているという人は、早めに医師に相談し、一度、呼吸機能を測る検査を受けるよう勧められています。
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