パソコン用ソフト会社、ジャストシステム(徳島市)のワープロソフト「一太郎」を巡る特許権侵害訴訟の控訴審で逆転敗訴した松下電器産業は11日、知的財産(知財)高裁の判決を受け入れ、最高裁への上告を断念する方針を明らかにした。上告期限は14日までで、これでジャストシステムの勝訴が確定する。
松下は「ソフトウエア製品も特許権の侵害品になるとの当社の主張が認められた点は評価でき、受け入れることにした」と説明している。上告しても、知財高裁の判決を覆すのは困難との判断もあるとみられる。
この訴訟は、松下電器が昨年8月、一太郎と、グラフィックソフト「花子」が、自社の特許を侵害しているとして提訴。1審の東京地裁判決(2月)は松下側の主張を認めた。しかし、知財高裁は「松下の特許は、89年の出願よりも前に外国の刊行物に記載された発明と周知の技術に基づいており、進歩性を欠き無効」として、松下の請求を棄却した。【前川雅俊】