東京都新宿区の警視庁警官寮「清和寮」で90年11月、魔法瓶を改造した爆発物が爆発し、警官ら9人が死傷した事件が1日、公訴時効を迎えた。警視庁公安部は翌日発生した別の警官寮爆発物設置事件とあわせ、過激派「革労協」による組織的犯行とみて捜査員延べ約16万4000人を投入。殺人などの容疑で捜査を進めたが、犯人検挙に至らなかった。
事件は90年11月1日午後10時52分、清和寮裏門のブロック塀につり下げてあった爆発物が爆発し、巡回中の巡査長(当時48歳)が死亡した。約5分後、近くにあったもう一つの爆発物が爆発。付近に集まっていた警官ら8人が重軽傷を負った。翌2日未明には世田谷区の警官寮「誠和寮」の敷地で爆発物が2個見つかり、現場で爆破処理される事件が起きた。
爆発物はいずれも魔法瓶を改造したもので、公安部は天皇の「即位の礼」(90年11月12日)などへの反対闘争をしていた革労協旧狭間派による連続ゲリラ事件と断定していた。清和寮事件以後、警官が殉職した極左活動家によるゲリラ事件は発生していない。誠和寮事件も2日午前0時に時効を迎える見通し。