東京証券取引所は1日午前、売買システムに障害が発生し、1部、2部と新興企業向け株式市場のマザーズなど全2401銘柄の株式の取引が出来なくなり、午前9時の取引開始から全銘柄の売買を停止した。全銘柄の取引を停止したのは史上初めて。東証はシステムの復旧を急いでいるが、午前中の取引中止を決めた。今のところ「システム障害の原因は不明」とし、再開のめどは立っていない。
東証によると、午前6時半に通常通りシステムを起動したが、途中で証券会社との取引で使用するコンピューターソフトを認識できず起動に失敗した。その後、再起動を試みたが正常に作動しなかった。このため、東証は午前8時前に証券会社に売買注文の受け付けが不可能と通知し、午前8時40分に取引開始時の売買停止を決定した。
取引が出来なくなったのは、東証1部(1681銘柄)、同2部(507銘柄)とマザーズ(148銘柄)のほか、不動産投資信託(REIT)、株価指数連動型投資信託受益証券(ETF)、転換社債など。
東証は午前9時45分から天野富夫常務が会見し、「ご迷惑をおかけし申し訳ない。原因は不明で、再開のめどは立っていない」と陳謝した。
東証はインターネットを使った株取引が急増。7月まで1日当たりの平均出来高が15億株だったのが、9月以降ほぼ倍増していた。このため、10月8~10日にシステムを増強し処理能力を引き上げ、1日当たりの注文件数を620万件から750万件にした。
システム増強と今回の障害の関連について、天野常務は「ただちに影響があったとは思われない」と話している。
東証では97年8月1日にシステム障害で1部、2部などの1702銘柄が午前中取引できなくなった。システム障害で大規模な取引停止が生じたのはそれ以来で、8年3カ月ぶり。このときは、立会場で証券マンが手作業で取引する150銘柄などに限って取引が行われた。その後、01年6月にシステム障害で1銘柄の取引が終日出来なくなった。
新興企業向け株式市場のジャスダック証券取引所でも8月29日、売買システムに障害が発生し、全銘柄(967銘柄)の午前の取引を全面停止した。ジャスダックのシステム障害は今年3回起きている。【後藤逸郎】
◇福証、札証も取引停止
東証のシステム障害の影響で、東証の売買システムを利用している福岡証券取引所(福岡市中央区)も、1日午前9時から株式と転換社債型新株予約権付き社債のすべての銘柄の取引が停止した。福証は00年8月に立会場を廃止し、同時に東証のシステムを共用している。
また、札幌証券取引所(札幌市中央区)も、東証の売買システムを利用しており、この日午前から取引を停止している。