札幌夏季オリンピックの開催費用は1兆8328億円--札幌市は14日、市議会経済公営企業委員会に、同市で夏季五輪を開催した場合に施設建設費など必要な経費についての試算結果を報告した。委員からは、多額の出費を懸念する意見がある一方、地元経済への波及効果に期待する声もあり、今後議論を呼びそうだ。
競技施設建設費は開会式や陸上競技を行う真駒内屋外競技場を、7万人収容とする改築費に662億円など1898億円。選手村は60ヘクタールの用地費や建設費で1062億円。道路などのインフラ整備に1兆365億円。このほか、大会運営費や招致活動費が含まれる。
これに対する市の支出は、国などの負担を除いた2550億円で、30年返済の市債で賄う想定。
一方、市債返済費と大会終了後の施設維持費は、同市の除雪費用の1.5倍に相当する毎年216億円が必要となるほか、開会式に10万人訪れると想定すると、市内最大級ホテルが約90棟足りないとの問題も報告された。しかし、今回の試算に大会後の施設維持費や民間投資は含まれていない。
市議会が20年の招致を決議したことを受け、上田文雄市長は市民1万人にアンケートを行い、来年2月に招致の是非について明らかにする予定。今回の試算は12月に行うアンケートの資料として市民に示す。
16年以降開催の夏季五輪招致については、東京都と福岡市が、既に名乗りを上げている。
【去石信一】