経済同友会は21日、金融政策に関する意見書を発表し、「プラスの金利を操作目標とした従来型の金融政策に向けてかじを切るべき時期が近づいている」との考えを示した。景気が回復していることや、カネあまりが資産バブルを招く恐れがあることを理由としている。量的緩和解除を目指す日銀の方針を支持する考えを打ち出したものと言える。
意見書は「金融不安やデフレ悪化懸念が大きく後退した中、緊急避難的に導入された量的緩和政策はその目的をほぼ達成した」と分析。量的緩和を今後も継続する副作用として(1)市場での資金調達で信用力格差が付かず、経済の新陳代謝を阻害する(2)企業・家計の金利収入の喪失(3)安易な国債発行など財政規律の低下(4)実体経済とかけ離れた資産価格の上昇の加速(5)解除先送りに伴う将来の急激な利上げの恐れ--を挙げた。
そのうえで「日銀は量的緩和政策の解除の議論を本格化させ、金利機能の働く市場の再構築に向けて、具体的な政策転換の緒に就くべきだ」と指摘した。ただ、政府・与党幹部から早期解除に対する反対論が相次いでいることにも配慮し「解除の具体的な時期は(同友会として)議論していない」(同友会経済政策委員長の高橋温・住友信託銀行会長)と慎重さも見せた。【竹川正記】