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憂楽帳:新しい文化を

大阪に出掛けた折に私鉄に乗ると、輸送力や車内設備などの水準の高さに感心することが多い。首都圏とは都市の規模が違い、一律に比較できない面もあるが、うらやましく思うのは確かだ。

 そんな「私鉄王国」で、阪急と阪神の経営統合が本決まりの情勢だ。だが1世紀に及ぶライバル関係にある両社の統合には、まだ疑問の声も多いらしい。

 鉄道趣味の分野でも健筆を振るう明治学院大教授の原武史さんが講談社のPR誌「本」7月号で早速この問題を取り上げている。この中で原さんは、両社の文化を融合させるカリスマ的な指導者が現れれば、関西の私鉄は再び独自の文化を創造できるのでは、との見通しを示している。

 関東ではピンとこないが、関西には私鉄が地域の文化を築いてきたという歴史がある。阪急と阪神といえば、山の手と下町、宝塚と甲子園(単純すぎるかな)。こんな対照的な個性が混じり合って新しい文化が生まれるのなら、地元でなくても楽しみになる。第一、スピード競争と違って、はるかに安全だ。【山本武史】

毎日新聞 2006年6月28日 12時22分

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