岩手県洋野(ひろの)町の会社員、上野紀子さん(52)と二女の会社員、友紀さん(25)が行方不明になった事件で、県警久慈署捜査本部は25日未明、紀子さんの遺体を山林に遺棄したとして、青森県八戸市沢里、塗装工、若林一行容疑者(29)を死体遺棄容疑で緊急逮捕した。供述通り近くの山林から紀子さんの遺体が見つかった。若林容疑者は2人の殺害をほのめかし、友紀さんの遺体も近くに遺棄したことを供述している。捜査本部は友紀さんの捜索を急ぎ、殺人容疑でも若林容疑者を追及する。
調べでは、若林容疑者は19日、紀子さんの遺体を自宅から南西約5キロの山林に遺棄した疑い。若林容疑者は窃盗目的で侵入したことを認める供述もしており、上野さん方の裏庭には下着など衣類が落ちていた。
捜査本部のこれまでの調べでは、上野さん母娘は19日午後5時ごろ、それぞれの勤務先を出たのを最後に行方不明になっていた。連絡が取れないのを不審に思った親類の男性が22日昼過ぎ、警察に届け出た。同日午後2時ごろ、家に入った同署員が、血痕をふき取ったような跡を確認。現場の状況から、母娘は殺害された可能性が高いとみて捜査本部を設置した。
上野さん方の近くで不審な軽トラックを目撃したという情報が近くの住民から20日に寄せられた。捜査本部はナンバーから若林容疑者を割り出し、八戸市内にいるところを任意同行を求めた。当初は否認していたが、24日夜になって殺害をほのめかす供述を始めた。その後、若林容疑者を遺棄現場に同行させ、雑草の中に放置された紀子さんの遺体を発見した。
捜査本部は25日、若林容疑者の自宅を家宅捜索し、事件に使われたとみられる軽トラックを押収。紀子さんの遺体を司法解剖し死因を調べる。
また紀子さんの車は自宅近くに、友紀さんの車は自宅から約200メートルの場所に置かれていた。自宅の玄関、窓、車はいずれも施錠されており、母娘の持っていた鍵がなくなっていたことから、捜査本部は若林容疑者が奪ったとみて、凶器とともに捜している。【苅田伸宏、安田光高、念佛明奈】
毎日新聞 2006年7月25日 11時32分 (最終更新時間 7月25日 11時37分)