毎日新聞は自民党総裁選について、同党の全都道府県連の3役(幹事長、総務会長、政調会長)141人を対象にアンケートを実施した。「次期首相にふさわしい政治家」を聞いたところ、半数近い68人が安倍晋三官房長官(51)を挙げ、2位の麻生太郎外相(65)=15人=らを大きく上回った。福田康夫元官房長官の不出馬で地方組織でも安倍氏の優位が強まり、一強状態に拍車がかかった形だ。一方、福田氏については「出馬が望ましかった」が過半数の80人に上り、安倍氏への支持とは切り離して「安福対決」実現が望ましいととらえていた状況が浮かんだ。
アンケートは今月20~26日に実施。「次期首相にふさわしい政治家」には106人(回答率75%)が答えた。福田氏は選択肢からはずした。先月、都道府県連の幹事長47人を対象にした同様の調査(回答率43%)と比べ、今回の幹事長の回答率は66%に増え、態度を明確にしつつある。
中でも安倍氏への支持が突出しており、回答しなかった人が35人いるが、仮に全員が他の「ポスト小泉」候補への支持に回っても安倍氏優位は変わりそうにない勢い。先月の幹事長アンケートで福田氏支持だった6人のうち2人が、回答しなかった4人が安倍氏支持に回るなど、福田氏の不出馬で安倍氏への傾斜が強まっている。2位の麻生氏は、地元の福岡など九州を中心に支持を集めている。27日に出馬表明した谷垣禎一財務相(61)は6人。自民党の山崎拓前副総裁(69)と与謝野馨経済財政担当相(67)は2人、河野太郎副法相1人で、「その他」は12人だった。
一方、福田氏については「出馬が望ましかった」が80人、「望ましいとは思わない」は31人。先月の幹事長アンケートで福田氏への支持は安倍氏の9人に次いで高かっただけに、「安福対決」が幻に終わったことが党全体にはマイナスとみているようだ。
「次期首相にもっとも望む政策」では、「格差の是正」を挙げたのが57人でトップ。続いて「財政再建」40人▽「中国、韓国などアジア外交の立て直し」11人▽「小泉改革の一層の推進」10人▽「北朝鮮のミサイル対策」3人--だった。
総裁選で地方票は党員票に基づき配分される。都道府県連3役は通例、ベテラン県議が就くことが多く、地方組織への影響力が大きいとされている。【坂口裕彦】
毎日新聞 2006年7月28日